「物理フリック」販売1年間でやらかしたこと

物理フリックキーボードのキットを販売して1年でやらかしたことについてです。
最近、同人ハードウェアが熱くなって来ており、ノウハウ記事が増えてきました。
華々しい成功談に隠れた失敗談を共有したいと思います。
 
 
販売1ヶ月くらいに書いた記事↓
 

不良品を送ってしまった

 
10個ほど販売した段階で、不良部品が含まれていたことをDMで連絡をもらいました。
すぐに代替の部品を送付するとともに、出荷前のチェック項目の見直しを行いました。(ちょうどそのロット分の在庫が切れたため、在庫の回収は行っていません。)
 
不良個所:機構部品のアクリルが抜けていない
不良原因:レーザーカッターの出力が低くなっていた(レンズの曇り?)

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個人で量産している以上、工場生産以上に不良品が出やすいです。
キットの販売となると完成品の販売と違い、部品ごとの単体テストしかできません。
どこまでチェックができるか、チェック作業にどれだけコストをかけるか悩ましいところです。
 

3ヶ月、在庫を切らした

7~9月の約3ヶ月間、在庫が0の状態でした。
インターン等忙しかった面もありましたが、モチベーションを維持できなかったのが原因です。
キーボードのキットという販売形式のため部品点数が多く、プログラムの書き込み、機構部品の作製(アクリル板のカット、接着)等、作業工程も多いです。1キット当たりだいたい2時間ほどの作業時間が必要です。
加えて、文字盤の印刷にはUVプリンタを使用しており、機器を借りに東京まで出る必要がありました。
そんなこんなで、なかなか重い腰が上がらず、在庫を3ヶ月切らした状態になっていました。
 
部品一覧(箱詰めだけでも結構大変)↓

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量産のモチベーションの維持はなかなか難しいです。
普段の電子工作では、新しいものを作っているということで作業それ自体が楽しいですが、量産作業は同じものを何十個も作る作業で、作業自体に楽しさを求めるのは難しいです。
単一の基板で、自分でおこなう作業が少なければそこまで問題になりませんが、キットや筐体を自分で作る等手作業が多い場合は、モチベーションの維持が問題となってきます。
 

モチベーションの維持方法

エゴサする
たくさんの人に使ってもらうことや、使った感想を聞くのはものすごくモチベーションになります。ただ、今回の販売形式はネット販売オンリーということで、イベントでの対面販売とは違い直接感想を聞くことが難しいです。そのため、自分はTwitterエゴサして一人でうはうはしています。
イベント参加
イカーフェアやNTといったメイカーズイベント、同人ハードウェアミートアップ等の勉強会への参加です。みんなものづくりが好きな人なので、話を聞いているだけでめちゃくちゃ面白いです。同じように頑張っている人がいるというのを、実際に会って体感するとモチベーションがあがります。
商品価格の調整
身も蓋もない話ですが、お金はモチベーションに直結します。
当たり前の話ではありますが、手作業が入る場合は、作業時間に応じた金額を必ず商品価格に乗せます。自分の場合は時給換算2000~2500円くらいになるような価格設定にしています。
また、UVプリンタやレーザーカッター機器のレンタル料金や東京までの移動費等、原価を部品代だけで見ていると、価格に反映するのを忘れてしまいそうになるので注意が必要です。
 
本当に大丈夫なのかなと思うくらいの低価格で販売されている方もいますが、身を削る価格設定は、自分が苦しいだけでなく、界隈全体を巻き込んだ低価格化を招く可能性があります。イラストやアクセサリーと比べ参入障壁が高く(イメージがある)、購入者も"わかっている人"であるため、まだ問題にはなっていません。しかし、これからマーケットが大きくなっていく中で、考えていかなければならない問題であると思っています。


 おしまい

同人で飯を食い続けるのはごく限られた人にしか難しいです。しかし、たまに”同人で飯を食う”ことに限れば、手を動かしさえすれば手に届くところにあります。
同人で食う飯はめちゃくちゃうまい!
 
現在、高須さん(@tks)が同人ハードウェアフェスを企画してくれています。
会場調整のため参加受付停止中ですが、広い会場が取れたら募集を再開するらしいです。
2月10日でちょっと近いですが、よかったら挑戦をば!!

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